読んだきっかけ
「こちらあみ子」を読んで、ガツンとやられてすっかり今村夏子さんのファンになりました。長編小説を是非読みたいと思い、手に取りました。
ざっくりどんな話?
病弱な主人公を救いたいという気持ちがきっかけで、宗教にのめり込んでいく夫婦とその娘2人の物語です。
主人公の目線で進む物語
読みやすい文章で、淡々と物語が進みますが段々と不穏な空気が漂います。
ただ、長編独特のうねりがないと言うか、読みやすい事もあって、長めの短編を読んだような気分でした。また、私の想像力が貧困なせいか、物語の中ではとても恐ろしい事を話しているのに、あまり恐ろしさが感じられない様な気がしました。
ただそれは、まだ幼い主人公の目線になっていたせいかもしれません。そうだとすると、やっぱりそれは今村夏子さんの凄いところで、読んでいる私まで子供の目線になってしまえるという事なのかなと思います。
読書に考えさせる余白
読み終わった後は、正直ちょっと物足りない気分になりました。ですが、そこも今村夏子さんの良さでもあると思います。読書に考えさせる余白でもあるのだと思います。そして、じわじわと色んなことに考えを巡らせることになります。
主人公を取り巻く世界がその後どうなるのか、家族それぞれの心の奥はどうなっているのか?今村夏子さんはどう思うのか?ともっと聞いてみたい気分になりました。
映画も素晴らしい
この作品は映画化されているので、読み終わった後、まだ感覚が残っているうちに鑑賞しました。
素晴らしい映画でした。脚本が今村夏子さんと監督の大森立嗣さんなので、原作の雰囲気をしっかり再現し、映像化される事でより分かり易く世界観を感じる事が出来ました。
小説ではあまり感じなかった恐怖が、映像化される事で客観視できるようになり、宗教の世界がどういうものなのかを見る事が出来ました。また、小説では物足りなく感じた部分も映画を観ることで納得出来ました。
原作の映画化は残念な事が割とありますが、小説の世界を映画で補完するという、大成功したパターンだと思います。
是非セットで読んで、観て頂きたい作品です。
コメント