同志少女よ、敵を撃て 逢坂 冬馬  

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読んだきっかけ

本屋大賞受賞作なのは知っていて、いつか読みたいと思っていました。

どんな本?

物凄い読み応えのある作品なのですが、なんとデビュー作だそうです。
アガサ・クリスティー賞大賞(第11回)、本屋大賞(2022年)、高校生直木賞(第9回)と賞を3つも受賞した作品です。

他にもキノベス!1位、沖縄書店大賞も受賞しているそうです。
書店員さんに支持されるって、読書好きとしては最も信頼が置けますのでずっと気になっていたのです。

ざっくりどんな話?

1942年、独ソ戦で自分の村を焼かれ、目の前で母親を殺された少女セラフィマ。復讐のため狙撃兵になり前線へ赴き、戦争とは何か、人間とは何かを理解していく物語。

ソ連に実在した女性狙撃小隊のお話です。

描写がリアルで克明

戦争の話なので、文献からの引用、武器の名称、トレーニングの方法、何しろリアルで凄いです。戦争の描写も生々しくて恐ろしく、正直読んでいてとても辛く悲しくなりました。
ただ、セラフィマを始めとする仲間や上官に魅力的なキャラクターが沢山出てきます。仲間たちが過酷なトレーニングを経て兵士になっていく様はとても格好良くて、応援したくなります。

散りばめられる人間ドラマ

当たり前ですけど、兵士って人間なんですよね。それぞれに家族があって、ぞれぞれにドラマがある。戦争だから敵国の兵士を殺さなくちゃいけないけど、敵国の兵士がみんな悪人なわけじゃない。
女性が虐げられる場面ももちろん出てきます。
人間の汚い部分ももちろん出てきます。
タイトルから想像出来たはずなのに、何も考えずに読み始めたのであまりにも重い展開に辛くなったのですが、目を逸らしてはいけないと気持ちを奮い立たせて読みました。
読者をそんな気持ちにさせる物語って、どれだけ作者は命を削って書いているのかと想像するだけで恐ろしい。

後半は見事。やっぱり戦争はダメ

辛いけど、最後まで是非読んで下さい。
セラフィマの選択に胸を打たれました。前半の戦争の醜さ、恐ろしさはここに繋がるのだなと思いました。そして、やっぱり戦争が人間にもたらす結果はろくなものではありません。悪いのは戦争であって、利用される人間には罪がないし、戦争に負けてしまう人間がいるのも仕方のないことだと思います。
正直、読み始めはトレーニングや戦闘シーン、武器の描写が息を呑むような表現で、戦うことを格好良いと思ってしまうのが否めません。”戦争を礼賛する小説なの?”と思ってしまい、モヤモヤしながら読み進めたのが事実です。
格好良いのは戦闘ではなく、精神と肉体を鍛え上げる人間の姿なのだなと、読み終わって思います。
モヤモヤを払拭するラストが待っていました。泣きました。
是非、圧巻の人間ドラマを堪能してください。

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