ざっくりどんな話?
三日月ホテル勤務の続力(つづき ちから)は、招待状の宛名書き依頼で書家の遠田薫を訪ねる。書道教室を営む遠田は、生徒に頼まれた手紙の代筆も行っており、何故か続が手紙の内容を考える羽目に。
遠田の多彩な筆致に魅了された続は、次第に遠田との仲も深め、同時に遠田の過去にも触れていく。
ヴァイオレット・エヴァーガーデンのコメディ版?
おじさん二人で手紙の代筆。ちょこっとヴァイオレット・エヴァーガーデンと設定が被ってますが、あんなに切実なお話ではないです。笑
どうしても恋人と別れたい人の手紙(別れさせ屋?)や、小学生のお小遣い値上げ交渉のための手紙の代筆です。
おじさん二人のやり取りは微笑ましく、もちろん晩酌の場面も出てきて、飲みたい気持ちに抗いながら読んでいました。笑
文字を書きたくなる
お手紙ってもう随分書いてないですよね。職種によっては文字すら書くことが大分減ってる方も多いと思います。
遠田さんが自由自在に文字を操る様に魅了される続さんの様子は、こちらも疑似体験したような気分になりました。匂いを感じながら、音を聞きながら墨を擦り、半紙に向かい、精神を統一する。
とても贅沢な時間だと思いました。自分の心と向き合う時間を自分の為に作りたいと、この作品を読んで思いました。
おじさん達が格好良い
主人公二人の他にも魅力的なおじさんが何人か登場します。こんな人間関係や、こんな世界が存在したら良いのに、と思える世界が展開するのですが、現実の肩身の狭いおじさん達に脚光が浴びる世界を久々に見ました。
ついこの間は”ナチュラルボーンチキン”を読み、青年のおじさん化現象を文章化してくれたことに溜飲を下げたばかりだったのですが、私が子供の頃に憧れた格好良いおじさんは”墨のゆらめき”の中にちゃんと存在していました。
映像化して欲しい
おじさん二人のやり取りが面白くて、読み終わった時はまだ読んでいたい気持ちになりました。
映像としてクリアに浮かぶ三浦しをんさんの文章力、流石です。
漫画やドラマなど目で観てみたい、是非シリーズ化して欲しい作品です。
遠田さんはどのイケメン俳優さんが演じるかな・・・と想像するのも楽しいです。私の想像では佐藤健さんでした。続さんは前野朋哉さん!でこぼこコンビのやり取りを観てみたい!笑
Audibleで聴くことが出来ます。
「墨のゆらめき」は「オーディオファースト作品」と言って、Audible用に書き下ろした作品なので、一定の期間が過ぎるまではAudibleでしか聴くことが出来ない作品です。もう書籍化はされていますが、聴くことを前提に書かれた作品なので、朗読される雰囲気も味わってみてはいかがでしょうか。
Audibleはナレーションに有名俳優さんや声優さんが起用されていて、とても楽しく聴くことが出来ます。
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