パンとペンの事件簿 柳 広司

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Audible

読んだきっかけ

オーディブルの新着情報で見て、ナレーションが俳優の岡部 たかしさんというのが面白そうだと思って聴きました。

Audibleのオリジナル作品です。

「パンとペンの事件簿」は「オーディオファースト作品」と言って、Audible用に書き下ろした作品なので、一定の期間が過ぎるまではAudibleでしか聴くことが出来ない作品です。
Audibleはナレーションに有名俳優さんや声優さんが起用されていて、とても楽しく聴くことが出来ます。
岡部たかしさんの朗読は素晴らしかったです。心地よく響く低音で、演じ分けも分かりやすく是非別の作品でも聴きたいと思ました。

ざっくりどんな話?

1910年、紡績工場で働く主人公のぼくが暴漢に殴られ、路地裏に倒れているところを助けられた。助けてくれた彼らが働く会社は”売文社”。文章と呼ばれるもの、慶弔文、翻訳、新聞記事などを生業にし、世間に恐れられている社会主義者の集団だった。そんな売文社に舞い込む手紙には事件に発展するものもあって・・・。

印象が違いました

もっと軽くてエンタメ寄りの、推理小説みたいな感じなのかなって思っていたんです。
歴史を織り交ぜながら、実在した人物も登場して事件を解決していくお話で、社会主義とは何か、明治時代に何が起きたのか分かりやすく説明されていて、歴史に疎い私にもとても面白く、歴史をもっと勉強しようと思いました。

人権の為に闘った人たち

堺利彦さんをはじめ、大杉栄さん、荒畑寒村さん、山崎今朝弥弁護士など実在した社会主義の人達が登場します。私は不勉強なので全然知りませんでしたが、明治時代に社会主義の人達が闘ってくれなかったら現在はもっと不自由になっていたのだろうと思うと恐ろしい。

「男性だからといって威張ってはいけない。女性も男性と同じ仕事ができる」と言って自らも台所に立ち料理をしたり、出来高制のフリーで働くスタイル、平民の労働環境向上のための手助けなど、男尊女卑が当たり前の当時は堺利彦さんはかなりリベラルで、おじさん達には煙たがられただろうなと同情します。

魅力的で、個性豊かな人達が出てきてとても楽しく聴きました。他人の為に熱くなれる人達、素敵です。

ドラマ化希望です!

一話完結の四話で構成されています。ジャンルで分ければ推理もの。登場人物もキャラクターがしっかりしているので、ドラマにしやすいと思います。
美容業界で働く職業婦人のオブチミチコさんはとても素敵な女性で、イメージは天海祐希さんでした。
堺利彦さんは小野武彦さん。大杉栄さんは西島秀俊さんで、荒畑寒村さんはオダギリジョーさん。
表現が自由になったと言うのであれば、是非この小説をドラマ化して、社会主義ってこういう事なんだよって伝えて欲しいです。「エルピス」を作ったカンテレあたりで作ってくれないかしら?

子供たちにも是非

こんなに格好いい大人たちがいたんだと知って欲しいと思います。こういう作品が沢山読めるようになって、自由に語られるようになれば、政治も良くなるのでは?と思います。
子供達、若い人達にも是非広まって欲しい作品でした。

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