コンビニ人間 村田沙耶香

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読んだきっかけ

芥川賞を受賞した当時の2016年に読んだのですが、友人が「面白かった」と言うのを聞いて再読です。

どんな人におすすめ?

”普通であること”に違和感を覚える人、それに尽きます。

ざっくりどんな話?

子供の頃から他者と価値観が違い、”普通”を求められながら生きてきた古倉恵子。36歳になっても、大学在学中に始めたコンビニでのアルバイトを続け平穏に暮らしている。
かつてのバイト仲間で、仕事はできないが理屈だけは立派な白羽という男と再会し、何故か同居することに。白羽は古倉に就職することを求めるが・・・。

”普通”の人が怖くなる

古倉恵子さんは彼女なりに平和に生きているのに、周りに”普通”を強要されるのが読んでいてだんだん恐ろしくなります。
”結婚した方が良い”、”子供を産んだほうが良い”、”就職した方が良い”、本当にそうでしょうか?

結婚適齢期って誰が決めたんでしょうか?結婚したい相手が現れた時がその人の適齢期であって、それが20歳なのか50歳なのか、人によって全然違って当然だと思います。
そもそも、適当に結婚して夫婦仲が悪い人生なら、独身で楽しく暮らした方がよっぽど充実した人生を送れるのではないでしょうか?

子供に関しても、皆が子育てが得意なわけではないし、経済的な理由や身体的な理由など沢山あるので、「産んだ方が良い」なんて安易に言える言葉ではないはずです。
虐待がなくならないのも、「子供を産んだ方が良い」の呪縛から逃れられないせいなのでは?と思ってしまいます。

普通が幸せなの?

古倉さんは周りを観察し、真似して浮かないように努力しています。
「二木先生」でも主人公の田井中くんが好きでもない流行りの音楽を聴いて、普通の人間に見えるように特訓します。
胸が痛いです。好きなものを好きと言える、「へえ、それ、私は知らないけど、面白そう」と相手を認める世界になって欲しい。

私は子供の頃に「変わってるね」と言われて、何が変わってるのか理解できませんでした。その当時流行っているものが好きではなくて、自分の好きなものがハッキリしていただけです。
教育では「個性を大切に」って言いますけど、個性を大切にできる人が増えれば、いじめなんてなくなるはずです。いつまで経ってもいじめがなくならないのは、個性が突出すると目障りだと思う人がいっぱいいるからですよね。

縄文時代から日本は進化してない?

白羽さんはことあるごとに縄文時代を引き合いに出します。最初はイラッとさせられるのですが、何度も読むうちに”確かにそうかも”と肯定してしまう自分がいました。笑
周りと同じことが出来ないと、はじかれてしまう。村一番の狩りが出来る男に女が群がる。
子供たちの行動が大昔から変わらないように、人間の中身なんてなかなか進化しなくて当然かもしれないとも思います。

自分なりの答え

古倉さんは自分なりの答えを見つけます。確かに生きづらい世の中ですが、必ず居場所ってあると思います。
なければ作ればいい。
私もおばさんになってだいぶ生き易くなりました。笑

小説は生きづらい人の味方

これまでに沢山の小説を読んできましたが、小説は生きるのに困った人たちにヒントをくれるなと、つくづく思います。何かで悩んでいても、同じように考えて苦しんでいる人がいると教えてくれます。
この本もそうでした。
結論は自分で出して、自分の人生をより良くするためのツールとして、私には小説は絶対的に必要なものです。
少しでも生き易くなる人が増えるといいな、と思います。

Amazon Audibleでも聴くことができます

私はこの作品はAmazon Audibleで聴きました。
本の価格が上がっている昨今、定額で何冊分も読書出来るなんて、私にはとても嬉しいサービスです。

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